言葉と思考・観たもの感じたもの🎹🌼🌿🌷🐦✨

演劇・映画・音楽を観た感想を書いてます。日記のような思考の記録もあります。

shelf×アラビアの夜×クリムト(Gustav Klimt)

shelf volume24 「アラビアの夜」感想の絵画verです。


沖渡崇史さん(ハンス・ローマイアー)が、川渕優子さん(フランツィスカ・デーケ)と最後に向かい合い抱き締め合う場面を見て、私の脳裏に浮かんだのがこのクリムトの絵、"接吻"(Der kuβ)でした。優子さん(フランツィスカ)の表情、沖渡さん(ハンス)の抱き締める腕、まさにこの絵だ…。私はなんとも不思議な感覚に襲われました。アラビアの夜とクリムトの絵が繋がった。

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家に着いてから興奮気味にクリムトの他の絵も見ていたら、ああ、これはまさに優子さんのフランツィスカ・デーケではないか、と感じたのがこの絵"ダナエ"(Danae)。


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人生の抗えなさとか、ひとりの寂しさとか、出会う喜びとか、ささやかな幸せとか、なんてことない日常の愛しさとか、誰かと過ごす夜とか、途方に暮れる瞬間とか、消えない呪縛とか、人間の愛らしさとか、そんなものが無数にあって、溢れていた。おおいに笑って、真顔になるくらい真剣になり、行く末を凝視し、こっそり泣きそうになり、グッとこらえ、そして最後に私は祝福を感じた。勘違いでも良くて、最後のシーンで私は祝福された。あの場にいるすべての人、あの場にいない人、これから生まれる人。あの瞬間はなんとも言葉にしがたい祝福だった。

戯曲と演出と俳優と、お客さんひとりひとりの想像力を頼ってくれていて、信頼してくれていて、それが嬉しかったし、一緒に飛躍していくのが私は楽しかった。これが演劇の醍醐味だよなぁとも感じた。